府中家具　バンザイ！

　とある料亭の離れ座敷。足音がして障子が開く。下座で待つ海産物問屋の越後屋嘉平、両手を突き平伏する。客の代官赤松門左衛門、頭巾姿で上座に座る。
「越後屋、待たせたのう」
「これはこれはお代官様、お忙しいところお運び頂きまして、誠にありがとうございます。これは何時もの物でございますが、どうぞお納めを」

代官、越後屋が差し出す菓子箱を見つめ、
「ワシの好物の山吹色の菓子か？大分に儲けていると見えるのう」
「それもこれも、皆お代官様のお蔭でございます」
「越後屋、その事、ゆめゆめ忘れまいぞ」
「この越後屋、決してその様なことはございません。今日は綺麗所をずらっと用意してございます。さっお代官様、先ずは一献」
代官、酌を受けながら不敵な声音で、
「越後屋、おぬしも悪よのう」
「そうおっしゃるお代官様も」
「ムフ、ムフフフフ」

越後屋、代官が飲み干すのを待ち、
「ところでお代官様、此度の入札の件でございますが」
代官、菓子箱の中身を検め満足そうに頷きながら、
「皆まで申すな、越後屋。大船に乗ったつもりで、ワシに任せておけい。成就の暁には、またこの菓子をのう」
「承知致しましてございます」
二人、顔を合わせて忍び笑う。

ここで越後屋手を叩き、
「さあさお姉さん方、お頼みしますよ」
さっと障子が開き、芸者衆の登場。その中に由美かおるさん（残念、役名を失念しました）。代官、由美さんを見て好色そうな声で、
「おお新顔じゃな、こちらへ参れ」

我が世の春を謳歌する代官と越後屋。しかしあに図らんや、その時天井裏に潜む風車の弥七の姿。弥七、したり顔で頷く。

　とまあ、こんな調子だったのですかねえ？埼玉県所沢市の国立身体障害者リハビリテーションセンター病院での贈収賄事件、菓子箱に現金とは驚きです。このお二人、余程水戸黄門がお好きなようで。

　尚、前段の文章は全てフィクションで、実在の人物・団体とは一切関係がございません。越後屋さん、嘉平さん、赤松さん、門左衛門さん、同姓または同名の方がいらっしゃいましたら、平にご容赦願います。それにしても、菓子箱に現金とはなあ。




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