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2010年08月30日

「忍ぶ川」の思い出

 「忍ぶ川」の著者、三浦哲郎さんが昨日お亡くなりになったそうです。その「忍ぶ川」が封切りになったのが1972年の事だそうですが、当時高校生だった私も松江市内の映画館でこの映画を見ました。

 繰り返される兄姉の失踪や自殺に主人公哲郎が悩むシーン、またその哲郎が薄幸の娘志乃と知り合い、郷里の家で家族だけのささやかな結婚式を挙げるシーン。打ち続く不幸の中で、思いがけず末っ子の哲郎にお嫁さんが来てその喜びに戸惑う家族。

 突然調子外れの祝い唄を始める父親、それを止めようとして「お父さんお父さん」と揺さぶる母と三番目の姉。それを見て微笑みあう二人、根雪が少しずつ融けて行く喜びにも似た結婚式のシーンが続きます。

 そしてこの映画で一番印象に残るシーン、それは式の後で顔を洗う姉の姿を見た哲郎が、姉は泣いていたのではないかと思い「自分以外の兄姉達ならこのまま二階に上がってしまうだろう」とわざと乱暴な声で姉に語り掛ける場面です。

 「どうかね俺の嫁さん、あんたの義妹になるんだよ。上手くやって行けそうかい?」と問いかけるのですが、それに答えた姉が家族だけにしか分からない親愛を込めて哲郎の胸を一つ叩き、「いい人」と小さく答えるのです。

 この場面、原作と映画がごっちゃになっているかもしれませんが、思わず「う~ん」と唸ってしまうほどの名場面でした。そして当時話題となった初夜のシーンへと続きます。

 馬鈴の音に気付いた二人、一枚のケットに包まり北国の雪原を馬車に揺られて家路に向かう酔った馬方を見送るシーンはこれぞ日本映画と思わせる印象的な場面でした。

 加藤剛さんも栗原小巻さんも無論良かったのですが、私はこの映画を見て志乃の父親役の信欣三(しん きんぞう)さんに強く惹かれました。たったワンシーン、臨終の身を粗末なお堂の中に横たえ娘志乃の行く末を哲郎に託すのですが、もうこれ以上は無いというほどの填まり役に、「この人は上手な俳優さんだなあ」と思ったものでした。

 その後、この信さんは名作「砂の器」にも登場しました。「東北弁」の「カメダ」に頭を悩ます今西刑事が国立国語研究所を訪ね、桑原研究員役の信さんから「東北弁と音韻が酷似する出雲弁」の存在を教わるシーン、信さんの声と共に画面には赤く彩られた出雲地方の地図がアップで映し出されます。この場面、やっぱり信さんはお上手でした。この道何十年の研究員そのままでしたもの。

 映画を見た後に三浦さんの本を何冊か読みましたが、その次期は高校生から大学生の頃、言わば私の青春時代でした。あの次期に三浦さんの本に出合えた幸運を謝し、ご冥福をお祈り致します。合掌。




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Posted by 府中店長 at 09:14│Comments(0)店長日記
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