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2014年06月24日

許せない暴言

 都議会のヤジ事件は一人の自民党議員が名乗り出て最初のハードルをクリアしました。しかし問題は彼の発した「早く結婚した方がいいんじゃないか」、それもまあ重大なセクハラ発言ではありますが、それに続いた「産めないのか」という許し難い暴言です。

 私達夫婦は30歳前後に不妊治療を受けた経験がございます。申すまでもなく、女性にとって不妊治療は大変な勇気が必要ですしまた職場に少なからず迷惑を掛けることにもなります。一時は教員を辞してもと治療を決意した妻ですが、当時の彼女の気持ちを推測しますと先ずは女性として自分の子供が欲しいという母性本能があったことは間違いありません。しかしまた、それと共に残念ながら保護者の方との面談でしばしば掛けられた「先生は子供が居ないから」の言葉が深く彼女を傷付たことも一因と考えます。

 不妊に悩む女性の心の負担、そして願望と悲嘆、それは体外受精の成否を宣告される病室で何度か見聞きすることになります。運良く卵子が受精したら次にその受精卵を子宮に移す手術を受け、その卵が子宮に着床して初めて妊娠ということになります。しかしこの着床が中々難しく、担当医の仰る「妊娠は神のみぞ知る世界」を痛感することが多いのです。

 ある時、ベッドの横で麻酔から覚める妻を待っているとカーテン越しに隣から40歳代と思しき奥様の声が聞こえました。涙声で「ご免ねご免ね」、ご主人が「大丈夫、また二人で頑張れば良いからね。それより、もう少しゆっくり寝たら」と優しく声を掛けていらっしゃいました。聞くともなく耳に入る言葉から何度目かの治療で初めて体外受精したものの着床には至らず、年齢的にこれが最初で最後のチャンスであったと知れました。奥様の泣き声は暫く続き、耐え切れず病室の外に出たことを思い出します。

 その後私達夫婦も「これ以上メスを入れる治療を続けると体を深く傷付けることになり、中高年になられた時に芳しくない病気を発生することがあります」とのお医者さんの言葉で治療を断念、その帰途、「鍋焼きうどんが食べたいな」とポツリと口にした妻の言葉が今でも耳に残ります。

 許せません、断じて許せません。結婚するしないは個人の自由、人がとやかく言うべきことではありませんしセクハラと言われて然るべき。しかし「産めないのか」の暴言は女性の尊厳を著しく傷付け、不妊治療を続ける女性を冒涜する何物でもありません。全国に涙する女性がどれほどいらっしゃることか、政治家はそれを肝に銘ずべきと考えます。




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Posted by 府中店長 at 10:59│Comments(0)店長日記
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