府中家具　バンザイ！

　兵庫県伊丹市に住む幼馴染のI君からのメールを受け取ったのが12日の日曜日、内容は友人T君の消息を尋ねるものでした。

　T君は小学校の時に私達の町に転校して来て数年でまた転校して行ったのですが、「親父が転勤族だったのでいろんな土地に住んだけど、頓原（とんばら：私の故郷の町です）が一番良かったよ」と嬉しいことを言ってくれる男です。あれは何年前になるのか、お盆に故郷の町で同窓会をした時、何と熊本県から自動車で帰って来てくれました。「今日は何処に泊まるの？」と聞きましたら「いやこのまま帰るよ」と言いますので、「お前そりゃ大変じゃろ」と申しましたがT君はニコニコするだけ。結局夜の9時過ぎ、中学校時代に応援団長を務めたFのエールと同窓会に出席した全員の見送りの中、下戸でお酒は一滴も飲まないT君は「じゃあ皆元気で、また同窓会をする時には必ず呼んでね」と言い残して帰って行きました。

　その時南阿蘇の山懐で焼肉屋さんをやっていると聞き、必ず行くからと約束をして、その翌年の大川新春展で福岡に行った時に彼のお店まで足を延ばしたのも懐かしい思い出です。

　福岡県大川市から九州自動車道の八女ICへ、八女から一路熊本を目指したのですが九州は広い、何せ私は地平線なんてものを初めて見ましたから。やがて熊本ICで降りて宿泊先のホテルへ、チェックインもそこそこに南阿蘇鉄道に乗り長陽（ちょうよう）駅下車、そこから地元のタクシーさんでT君のお店「石花庭（せきかてい）」までやっと辿り着きました。

　そこは広い敷地の中に焼肉屋さんとは思えない豪華な建物、阿蘇の大自然に包まれ出されたお肉も絶品、焼酎も旨い。T君とは違いぐいぐい飲まれる奥様と三人でとても楽しい一夜を過ごしました。

　そんな話しをI君が覚えていて、今夏熊本旅行をするので自分もT君のお店に行ってみたいと連絡をして来た次第です。そこでT君のお店に電話をしてみましたが「現在使われておりません」の自動音声、じゃあ携帯にと連絡を入れてみました。

　久し振りに聞くT君の声は、変わらぬ優しく落ち着いたものでした。そこで「お店の電話番号が変わったの？」と聞きますと、「いやお店は閉めたんだよ」との事。

　事情を聞いてみますと、元々お店は5年間だけする約束で奥様と始めたそうでして、5年ですっぱりと閉めたそうです。「えっ、じゃあ土地や建物はどうしたの？」と聞きましたら、「運良くねえ、お金持ちさんが別荘にするからと全部買ってくれたんよ」との事。あの土地、1000坪以上はあったでしょうし建物も豪華、売れて本当に良かったね。

　その後T君は上京して就職、数年を東京で過ごしたそうです。しかしたまたま私が電話をした昨日は引越し準備の最中だったそうでして、「また熊本に帰るよ」との事。I君のことを伝えますと、「そりゃあ絶対に会いたいなあ、必ず連絡するように伝えてよね」と弾んだ声で答えました。

　T君の消息が知れたのも携帯電話のお蔭、こんな時にはとても便利だなあと改めて実感致しました。携帯君、この度は大変お世話様になりました。I君も喜んでくれたからね、ホント、ありがとね。




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