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府中店長
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2017年07月28日

番地無し

 今朝の地元紙のおくやみ欄、故郷頓原で87歳の男性が亡くなったことを報せています。

 お名前、年齢からいって一学年先輩のKさんの父上ではないのか?、そう思いましたが住所には『頓原』までしか記してなく番地が書いてありません。

 「ひょっとしてもう頓原に家が無いのか?だから番地が書いてない?」、そう思いちょっと寂しい心持ちが致しました。Kさんの父上は頓原唯一の鍛冶屋さん、確かに仕事場はもう随分と前に無くなっています。

 Kさんはご長男ですが確か20代後半か30代そこそこ、若くして逝かれました。

 中学校時代は野球部のキャプテン、偉丈夫で厳つい顔のKさんを私達後輩は恐る恐るという感じで見ていたものでございます。しかし人は見掛けだけではわからない、Kさんが進まれた高校にたまたま私も進学しある日ばったりと再会しお声を掛けて頂きました。

「おう、元気か?」
「はい、お蔭様で何とかやっています」
「うん、せっかくだから何か食うか?」
「え?」
「まあ付き合え、それくらいワシが奢っちゃるがな」
「???」

 そんな内容の会話だったと記憶していますが、それこそラーメンか何かをご馳走になりながら初めてKさんと親しくお話をさせて頂きました。おそらくKさんは故郷から出て来たばかりの後輩のことを心配して下さったのでしょう。

 するとですねえ、中学生の頃はただ恐いだけの先輩であったKさんの目がとても澄み、本当は後輩思いの優しい人なんだと分ったのです。

 大学生の頃も一度か二度、故郷でお会いする機会があったのですがその度にあの優しい目で「元気か?」と声を掛けて下さったKさん、それだけに訃報を耳にした時は「何故?」と強い衝撃を受けたことを思い出します。

 番地無しのおくやみ欄に、あの優しかったKさんを思い出す今朝でございます。
  


Posted by 府中店長 at 08:33Comments(0)店長日記