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府中店長
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2014年06月01日

十年一昔

 調べますとそれは1977年、昭和52年4月17日のことでございます。舞台は中山競馬場、迎えた第37回皐月賞、彼の快挙を目の当たりにした日でございました。

 その日、杉並のアパートに彼を訪ね競馬に誘いますと「銭が無いんよ」と寂しげな笑いを浮かべます。少し余裕のあった私が「2千円位なら回せるで」と申しますと、「それなら」と即座に応じました。

 二人で新宿へ、西新宿に住む共通の友人Kと合流し新宿駅南口から歩いて5分ほどの所にある場外馬券売り場へと向かいます。彼が狙うは人気薄のハードバージ、しかし鞍上は天才と称された福永洋一騎手、「勝ったら奢るけんな」が彼の常套句でございました。馬券購入後、何時もの様にKのアパートに行きテレビ観戦、実況は盛山アナだったかな?

 さてこのレース、ラッキールーラの押切りかに見えましたがゴール前に鋭い差し脚を見せたハードバージが快勝、直後「取ったあ~!」の大絶叫、払戻金はあっと驚く7,730円、彼の手元には有ろうことか500円券、何と何と大枚38,650円の払い戻し~!!

 興奮冷めやらぬ一行は払い戻しを受けるために再び場外馬券場へと向かいます。それ程暑い日ではなかったと思いますが道中彼がポケットの中で握りしめていた当り馬券は汗まみれ、そりゃそうですわ、昭和52年当時の38,650円っていったら学生には大金ですもん。而して夜の新宿、言葉通り彼の奢りでどんちゃん騒ぎとなったことは言うまでもございません。

 そんな彼、渋谷茂樹君が逝って今日で10年が過ぎました。彼の命日が来ると決まって思い出すのがこの「2-2」の馬券、ハードバージとラッキールーラ、懐かしいですねえ。渋よ、あん時は散財を掛けて済まんかったなあ。改めて礼を言うよ、だんだんね~。

 毎年続ける墓参も今年で十回目、父上と母上にお会いするのも一年ぶり、例年通り今度の定休日に出掛ける事に致します。しかしお前を待たせてもう10年かあ、渋よ、ご免けどもう少し待っててな。




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Posted by 府中店長 at 08:07Comments(0)店長日記