府中家具　バンザイ！

　昨日、出雲市であった従姉の連れ合いの葬儀に参列しました。開式に先立つ女性のアナウンスは誠に結構、会者定離を淡々と告げるのみです。近頃の葬儀では故人と一度も会った事など無いであろうと思われる女性がその人の生い立ちや人柄をさも悲しそうな口調で述べる傾向にありますが、私はあれが大の苦手です。縁もゆかりも無い人の口上を聞いても故人は喜ばれないでしょうし出来れば耳を塞ぎたい程、あれは一考を要すると思いますがねえ。

　さて浄土真宗での葬儀も終わりかけた頃、型通り代表焼香が始まりました。その三番目か四番目に、故人の後輩で同じく農業分野の研究をされている方が弔辞を読み始められました。「へぇー、代表焼香の途中で弔辞かあ」と思っていましたら、その方がこう仰います。　「九州で勤務していた時に覚えた詩吟があります。これで先輩をお送りしたいと存じます」。

　詩吟など至って不案内な私ですが、それでもその方の朗々とした声はまるで心に染み込んで来るようでした。分らないながらも判じますとおそらくは人の世の無常観を吟じたもの、初めて経験しましたがこの方のお蔭でとても良い葬儀になったと感謝致しました。

　従姉の子供達には「お母ちゃんを大事にしてやってごせよ」と、そして従姉には「姉ちゃん、元気出さんとイケンよ」と声を掛けて式場をあとにしました。ひとまわり小さくなった様に感じた従姉、術後の事もあり少しばかり心配しております。




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