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　昨年、暮れも押し迫った12月26日に当町の鞁嶋（かわしま）町長さんが突然亡くなりました。任期一年目に自らの選挙公約である松江市との合併を推し進め、数々の困難を乗り越えて本年8月1日に合併の日を迎えるばかりとなっていました。正に身命を賭して政治姿勢を貫いた鞁嶋町長さん、その遺功に感謝し多くの町民が町葬に参列してご冥福をお祈り致しました。

　町長さん亡き後、半年後に迫った合併に向けて町政を担う新町長さんも大変だろう、しかし亡き鞁嶋町長さんの遺志を継ぎ粛々と最後の町長として合併の日まで頑張って頂きたい、そう願っておりました。然るに何たることか、町議会の現議長と前議長が相次いで町長選に立候補を表明したのです。私は人生の先輩諸氏に対し、無礼を承知で申し上げたい。

　「戯け（たわけ）」と言う言葉があります。これは大切な財産である田んぼを子供達に分け与えることが何れは家の衰退に繋がり、如何に愚かな行為であるかを表す「田分け」が語源であると聞いたことがあります。昔の人は実に賢いですねえ。

　鞁嶋町長さんのためにも、今は町民が心を一つにして松江市との合併を迎える大切な時なのです。町政を混乱させ、鞁嶋町長さんを冒涜するかの如き町長選など町民の誰も支持しないでしょう。「田分け」をしている場合じゃない、そんなことも分からないのかと呆れを通り越して悲しみさえ覚えます。両者とも「前町長の遺志を継ぐ」と表明していますが、何が「遺志を継ぐ」だ。今この時に町長選をするなど、鞁嶋町長さんは決して望んでいらっしゃらないはずです。

　自民党町議同士による住民不在、そして論点が全く無い町長選。こんな田舎で醜い権力争い、そんなの真っ平ご免だね。私、自慢じゃあございませんが選挙権を得てから今まで一度も棄権したことはありません。しかしですねえ、今回は実際迷っております。だってねえ、こんなゴタゴタは合併する松江市民は元より他町村に笑われるだけ、馬鹿馬鹿しくてやってられませんよ。

　最後になりましたが、出雲地方では「田分け」た行為をする者を「だらず」と申します。ご両所並びに両陣営の皆さん、あなた方は町民から「だらず」と言われても仕方ありません。猛省を。




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