府中家具　バンザイ！

　昨夜友人よりTELあり、故郷の知人が亡くなられたと聞きました。この方とはある理由から親しくさせて頂いていましたので、故郷の方角に合掌しご冥福を祈りました。

　お歳は80歳位であったと思いますが、今から30年程前、この方とは一夏同じ自動車教習所に通った間柄です。それ以来私が帰省の折に顔を合わすと、「元気だったかい？お前さんとは自動車学校の同級生だものなあ」と声を掛けて頂きました。

　当時、この方は先ずハンドルの持ち方から徹底的に指導を受けていらっしゃいました。長年農業に携わって来られましたので、田んぼで使うトラクターのハンドル捌きが身に染み付いてしまい、ハンドルを切る時にハンドルから手を離して腕を交差させると言う動作がどうも旨く行きません。どうしても、手でハンドルを滑らせるようにして運転してしまうのです。困った教官も、「あのねえFさん、トラクターじゃないけん、ハンドルから手を離して」と何度も注意するのですが、Fさんの【トラクター式ハンドル操作方】はいっかな直る気配はありませんでした。自動車学校への行き帰りのマイクロバスの中で、「あんなあ敬ちゃん（私のことです）、ハンドルから手を離すっちゅうのは、おぞおて（怖くて）出来んのんよ。どがあもならんで（どうにもなりません）」と眉をしかめていたFさん。

　ところが元々真面目で研究熱心なFさんは、自動車学校から帰るとトラクターのハンドルで一生懸命練習されたそうです。その甲斐があって徐々に自動車のハンドル操作に慣れられ、少し時間は掛かりましたが見事卒業されました。その時の笑顔、忘れられません。

　故郷の町の施設に入所されていると伺っていましたが、お盆を前に旅立たれました。あの温顔を思い浮かべながら、Fさんのご冥福をお祈り致します。Fさん安らかに、合掌。




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